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2013年8月13日火曜日

民法における判例六法の活用














勉強内容そのものについて,少し書いてみます。
幸い,短答は2年通過しているのと,民法は解答のみならず,特に力を入れてきたので,そんなに間違っているやり方でもないと思えるからです。

民法において,判例六法のまとめは全ての基本でした。
何が基本かって,何が問われていることかを「客観的に把握」することが,勉強をする際の前提と考えていたからです(以前に「勉強したら合格するは誤りです」で述べた話です)。

判例六法は,確かに判例の要旨は素晴らしいのですが,ただ同じように条文や判例がずらずらと並んでいるのは嫌いでした。物事には重要度などで必ず濃淡があるはずです。パレートの法則,2割に集中することで8割の効果を出せるのならば,それだけで合格も可能なのでしょう。

買ってきた状態で濃淡がわからないならば,自分で重要な2割がわかるように色づけしてしまえばいい。
客観的なデータでの濃淡づけは必須と考えていました。

以下のページを例に,濃淡づけをどうしていたか具体的に示します。(なお,このやり方は,masoブロ,川崎達也先生の合格者講義などを参考にしていました。御礼申し上げます。だだしそれなりにアレンジは加えているとも思いますので,ご了承ください)

以下の画像をご覧ください。私が未だに使っている平成24年版判例六法の1頁です。
(画像が見にくい場合は,拡大するなどして,適宜使用してください。)


元の判例六法から加工している箇所が何カ所かあります。大きく分けると
1 条文の見出しと条文番号(項)に引いてある赤線
2 判例の番号につけてある菱形の色塗り
3 判例の内容の黄色のべた塗り
4 判例の項目に緑のべた塗り
  です。それぞれ説明します。

1 短答で出題実績があった条文の番号と条文の内容には赤線を。
 条文番号だけでなく,項,本文・ただし書,柱書・各号など分けて,
 どの条文の知識が問われたかをひとつひとつ調べておきます。
 
 このページはほとんど問われていたみたいですね。559とか引き忘れでしょうw
 こうすることで,今まで問われたことのある条文がわかります。

2 最新百選にはピンク,旧百選・重判にはオレンジ,最高裁は黄,下級審は数字上に×
 目立ちそうな色から順番につけています。受験生が押さえてきそうな順番にも
 重なります。
 (下級審は民事系ではほとんど登場しないが,刑事系では非常に多い。
 しかも百選だったりするので質が悪い)

 例えば557条。
 三 「履行に着手」したものと認められた事例 の部分ですが,
 6は百選判例(ピンク)で,有名な受験生誰もが知っている判例だとわかります。
 しかし,4,5は単なる百選判例で,優先度合いが落ちると色で判断可能になります。

3 短答で出題実績があった判例の,内容全部を黄色でべた塗り
 過去問で1度でも判例知識が出された場合はべた塗りします。

 判例六法の優れているところは,1つの判例でも内容によって要旨が複数に
 分けられているところです。(557条の3と6のように)
 これを生かさない手はありません。

 この塗り込みによって,どの判例が問われたかでなく,どの判例の「内容」が
 問われたかがわかるようになります。

 (赤線が多少引いてありますが,これは規範など特に重要だと私が感じてた部分です)
 
4 3において過去問として出題されていることがわかったら,その判例の属している
 項目をべた塗りします(ホントは大小があり,塗り方変えるんですが別の機会に)。
 こうすることで,今まで何のテーマが出題されたかがわかるようになります。

 たとえば,561条において,一 移転の不能に該当するとされた事例は
 出題実績がありません。二や三は出題がされていたことがわかります。

今まで長々述べてきましたが,1〜4を全ての条文について下ごしらえをして,民法のまとめにしていました。

1〜4は個別にやることにそれほどの意味はなく,全て合わせることによって,ここに掲載したような六法ができあがってきます。


こうしてみるといろんなことが見えてくるのですよね。

百選判例であっても561条の5はまだ出題実績がないとか(→これから出るかも)。

最判(大判)にすぎないのに,560の1,561の3などたくさん出題実績があるとか(民事系は,百選で短答対策というのがナンセンスだと感じるのはこのあたりに基づいています)。


私は刑事系の論文が終わってから,短答の試験を迎えるまでの準備は,この六法しか読んでいません。もともとこれを作った動機も,最終日の準備をどう効率的に行うかでした。

具体的には,線の引かれている条文を読む。べた塗りのされている項目と判例を拾うという作業だけでした(それだけやっても民法全体で2時間半くらいはかかりました)。

それでも民事系でいえば民法・民訴は得点率8割超えましたから,問題なかったのでしょう。

この六法は今でも非常に役に立ってくれています。
こういったまとめが,少しでも読者のみなさんのお役に立てれば幸いです。

反響があればまた書きますので,感想,リプ,いろいろお待ちしていますね(^^)


2 件のコメント:

  1. はじめまして。
    司法試験の勉強を始めました、18歳の『未熟者』と申します。
    判例六法を買ったはいいものの、使い方が全くわからず、右往左往していましたところ、人生のそして司法試験受験の大先輩である背水様のブログを拝見させていただく縁に恵まれました。

    色分けの記事に、目から鱗が落ちる思いでいっぱいでした。

    そして、背水様の六法を直に拝見したく存じました。

    そこで、もし可能であればで結構なのですが、使い古しの六法がございましたら、どうかお売りいただけませんでしょうか。
    背水様の六法を是非参考にさせていただきたいのです。

    もし売却は困難ということでしたら、有償でお貸しいただくことでも構いません。
    バイト代を捻出してでも、背水様の六法の使い方を是非とも体得したいのです。
    ご検討いただけましたら有り難く存じます。

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    1. 丁寧にコメントありがとうございます。背水です。
      記事をお読みくださり、しかも多少は参考になったようで、
      大変ありがたいことです。

      さて、本題ですが、判例六法は1冊しかなく、現在1月半後に某試験を
      控えている状況ですので、今はちょっと身動きがとれない状況です。

      ただ、試験が終わりましたら、何らかの動きはとれるかと思います。
      またそれくらいになったら、お声をかけていただけますか。
      すぐにご期待に添うことができず申し訳ありません。

      単発の疑問くらいでしたら、Twitterなどを介してきいてくださっても
      構いませんので、もしよろしければお願いいたします。

      お互い最終合格目指してがんばりましょう!

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